さて本講座もいよいよ三回目、接着編です。俗にレジンキットが中級者用と言われているのは、接着の難しさに理由があるような気がします。プラモデルは溶着系の接着剤で接着するので、接着後も多少の位置決めが可能で、細かいパーツの多いスケールモデルに向きます。

 一方レジンキットの場合は、レジンを溶かす溶剤が存在しないので、瞬間接着剤や、エポキシ接着剤を使用しなければなりません。ご承知の通り瞬間接着剤は液体から、いきなり硬化するので途中の位置決めは不可能です。エポキシ系なら硬化まで時間がとれますが、未硬化時にはパーツを保持出来ないので仮止不能なパーツを接着するのは難しいでしょう。 そこで前回まで説明したダボやスリットがものを言うのです。

 それでは今回も動画をふんだんに取り入れてレッツゴー!!


 それではおさらいを兼ねて、レドームパーツを組んでみましょう。使用するのはこのパーツ群。このカラフルなパーツ群がうれしいですね。

 こういったリブ付近は本当に注意して作業して下さい。そもそもパーツ自体が極端に脆弱です。持つ手が力んだだけで変形してしまいかねません。



 リブの接合面にも若干バリがあります。#360のペーパーで丁寧に仕上げましょう。削り過ぎると変形して隙間が出来てしまいます。慎重に!

 これはやっかい!難しい加工です。
 第一段階としてニッパーでここまで切っておきます。切断面は気にしなくても良いので、ぎりぎりで切ってOK。



 今度はカッターで写真の方向からリブの幅分だけ切り込みを入れます。あまりリブぴったりに切り込もうとすると、えぐってしまうのでほどほどで大丈夫です。

 次に上から、今度はリブまで切り込んで、ゲートを切り離します。やはり、ぎりぎりまで頑張るとたいてい切りすぎます。ほどほどでやめておきましょう。



 この位処理出来れば大丈夫。これ以上深追いするとかえってリブを傷だらけにしてしまいきっちっと組めなくなってしまいます。

 ここからは三角ヤスリを使用します。主翼の時と同様の作業ですが今度はパーツにアールがあるので、三次元的にスライドさせる必要があります。



 ヤスリでも写真のようにリブに沿って、リブに垂直にと、二つの方向から仕上げます。
どちらも柔らかくアールに沿わせるのがコツです。

 この部分も前回と同様、きちんと平面を出すのが目的です。ダボを折ってしまわないように注意してきっちり仕上げましょう。



Coffee Break - 初代の瞬着制覇

 瞬間接着剤は弱いか?NO!
 瞬間接着剤は再接着出来るかYES!

 つまりは瞬着の選び方と方法なのだ!例えば講座内でも紹介し、私も愛用しているウェーブ「ハイスピード」、実は接着に使用すること自体不可能に近い。樹脂自体がとても弱く、接着しても硬化した瞬着層がすぐ壊れてしまう。逆に樹脂が柔らかいためヒケを埋めたりパテ風に使う場合これほど便利なものはなく、仮止めにも最適である。  強度の必要な場合は東亞合成「アロンアルファー木工用」。これは最強で、無理に剥がせば被接着面が壊れる。もちろんこれ以外の瞬着商品はこの二種の中間に位置する。

 「再接着」に関しては問題のすり替えだ。一度壊れた瞬着樹脂は同様の衝撃でまた壊れる。つまり最初から樹脂強度の足りない瞬着を選択したために何度でも壊れているのであって、再接着は出来ている。つまり弱い樹脂を取り去って、強い樹脂の瞬着で改めて接着すればよいが、弱い層を残して強い瞬着を使用しても、また弱い層が壊れるので、再接着出来ないように錯覚するらしい。強度が必要なら、初めから木工用などを使えばよいのだ。



 こういったゲートも甘く見てはいけません。下手に切ろうとするとパーツ側に深く折れてしまいます。リブがあるので修正出来なくなってしまいます。

 写真の方向から少しずつ削ぐように削って下さい。ゲートの角度的に逆側から作業すると折れてしまうでしょう。必ずこの方向から作業して下さい。



 最後は#500番のペーパーを使用して仕上げます。この様な細かい凸部分は、あっさり削れて、なくなってしまうので先端部分はペーパーを触らせない位の気持ちで。

 これは難しい!なんとリブ内部にも若干のバリが発見されました。ペーパーを使ってだましだまし処理します。この場合、多少削り過ぎても緩くなってしまっても、バリに当たってきちんとはまらないよりは、ましでしょう。



ここでは動画で解説をしています。
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それではここでお馴染みの動画スタートです。
どちらかというと宣伝カット的性格の強いカットですが(笑) おつきあいください。



Coffee Break - 初代のヤスリ制覇

 いろいろなメーカーから様々なヤスリセットを発売していて、私も幼少の頃から何セットも買っている。しかし何十年たっても結局使っているのは数本止まり、後はただ古い道具箱の主と化している。

 特殊な局面以外では三角二種、丸、薄平の4本だけあれば十分なのではないだろうかと思う今日この頃である。
 三角二種はペーパーで言う#360位の目のものと#500位のもの。講座で奨めたのは#360目。#500目のものは文盛堂「超極細三角ヤスリ」。  丸は直径3ミリ位のもの。僅かに扁平だとなお良い。目に関してはハセガワ「トライツール」程度で問題ない。  薄平はミネシマ「極薄ヤスリ」0.5ミリ。
 小型の金属ヤスリはこれら4本で十分、むしろそれぞれ習熟する方が重要と思う。



 それではここで今回の主役、瞬間接着剤を紹介しましょう。
 右から東亞合成「アロンアルファー一般用」。粘度、接着強度共標準的な汎用タイプ。
 次はウェーブ「ハイスピード」。接着力は極端に低いが、細かい隙間や、凹凸に入り込みやすい超低粘度。主に表面処理用。
 最後は接着の決め手、東亞合成の「アロンアルファー木工用」。瞬着最大強度を誇るも、中高粘度のため、細部には不向き。接着時間も長目。


 これも是非用意していただきたい、マスキングテープ。出来るだけ幅の広いものが便利でしょう。
 後はご覧の通りの真鍮線。出来れば0.5ミリ位のものと0.8〜1ミリ位のもの。



 ここまで組み上がったレドームパーツ。この部分は、どうしてもダボが緩いので接着しようと思います。あらかじめ接着剤を塗布して、組む場合は、流れにくい中高粘度の木工用を使用します。

 適当なサイズに切ったテープを貼って、それを使い捨ての瞬着皿として使用します。
 そこに適量の木工用瞬着を、予め出しておきます。



 このパーツの場合、ある程度接着面積が確保出来るので、太い方、1ミリの真鍮線を使用して、パーツに瞬着を付けます。

 この場合、付属のノズルを使用すると、押し出すことになるので量のコントロールがしにくく、シャボン玉になってしまったりすると、破裂した時飛散して危険です。真鍮線の使用を心がけましょう。



 その後素早く、正確にパーツを取り付けます。ダボによって接着位置が決まっているので安心して接着出来るのです。これでレドームパーツは完成!

 次は、組み立て終わったパーツの隙間に、後から流し込むタイプの接着を説明しましょう。先ほど説明したように、超低粘度のハイスピードを使用します。



 やはりテープ上に適量を出しておきます。ここでもノズルを使用すると大変危険です。面倒でもこの手順を守る方が確実です。

 ご覧のように青、黒、白の各パーツは組んだだけでぴったりと合ってはいます。ただ先端部分はリブがないため、時間の経過とともに反って開いてしまうこともあるでしょう。



 0.5ミリの真鍮線を使って、水滴にならない位僅かに瞬着をとり、パーツの外端部分にそっと触らせます。すると毛細管現象で勝手に瞬着が吸い込まれるのです。超低粘度だから出来る技と言えるでしょう。

 これで尾翼の接着は完了。この部分には接着強度が必要ないので、ハイスピードに最も適した局面と言えるでしょう。この方法だとはみ出し等がないため、完成直前でも可能です。



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 これも低粘度瞬着の特性を利用した接着です。表面張力や、毛細管現象などの物理現象は、模型製作にとても関係が深く、上手に利用するといろいろなことが出来るようになります。



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 ここでは瞬着を応用した特殊な使用例をご覧に入れましょう。この方法は緩くなってしまったダボや、リブにも応用出来ます。
 ちなみに瞬着の硬化スプレーは、どこのメーカーのものでも問題なく使用出来ます。



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 第一回で組み立てた青い機体ブロックに、その他のパーツを取り付け、瞬間接着剤で補強します。真鍮線による瞬着の使用を動画で確認して下さい。 



Coffee Break - 初代の離型剤制覇

 プラモデル等の金型による大量生産と違い、レジンキットは繊細なシリコン型が使用されている。また原型には緻密なモールドが施されている場合が多く、パーツをスムーズに脱型させるための潤滑剤(離型剤という)として油脂、ワックス、テフロンまたはこれらを「ウナギのたれ」のように独自のレシピで混合したものが、型にたっぷりと塗布されているのだ。結果的に生産されたパーツは離型剤の膜でコートされていて、塗料はおろか接着剤でさえ、剥がれやすく、最悪はじかれてしまう。そのため組み立て作業は、最初にこの離型剤をしっかりと落とすことから始めなければならない。

 一般には「中性洗剤で洗う」「専用の除去剤、スプレーを使う」等の方法が紹介されているが、極めて信頼性が低く、プロはもっと原始的且つ確実な方法を選択する。

 まずマイペットやスワイプ(写真)等の強アルカリ系洗剤の原液に数分間漬け込んで、油脂分を大まかに溶かす。単純な油脂やワックス分はこれで概ね分解されてしまう。

 激しく撹拌してもあまり効果はなく、パーツが破損するだけなので、軽くかき回す等してから、取り出し、クレンザー等の研磨剤系洗剤を直接パーツに付ける。

 このとき、強アルカリ洗剤は非常に手が荒れやすく、比較的長時間の作業になるので、、必ず手袋を着用することが基本だ。。

 歯ブラシを使用して、一つ一つ丁寧に磨く。洗剤のつけ込みでは溶けにくい奥まった部分や、モールドの顕著な部分を念入りに擦る。強固なテフロン系成分もこれで完全に除去できる。その後水で洗い流せば、撥水の具合で離型成分が残っていないことがはっきりと解る。

 しかし実のところ、フルカラーレジンキットの場合、成型色を生かして組み立てることが出来るので、ここまでの洗浄は必ずしも必要ではない。と言うより、そのためにフルカラーレジンにこだわっていると言っても過言ではない。全く洗浄せずに組み立てることも可能ではあるが、墨入れがスムーズに行えない、最後のオーバーコートをはじく等、考えられるので、最低限の処理は行った方が無難だろう。ただ、一般レジンキットの組立や、本キットの全塗装を行う場合は本格的な洗浄が必須となるので、敢えて詳しく説明した。




 瞬間接着剤は使い方に多少癖があるので、一般のレジンキットであれば「誰がやっても大丈夫!」とは言えません。ですが本キットの場合位置決めが不要なので、接着はあくまでも「補強」。これならばほとんどの方が上手に接着出来ると思います。

 実際の進行上はもう全てのパーツが完成しています。今組んでしまうと後の作業がやりにくい部分が、敢えて残されているだけ。次回からは、ちょっとした「お化粧」をしてあげましょう!それではまた。

鋭之介 “初代” 日野

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