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全体の組立こそまだですが、前回で、工作の説明をほぼ終了しました。この後、一般レジンキットは、プライマー処理、下塗り、基本塗装、マスキング1,2そして墨入れ、となるべき所、フルカラーキットの場合、いきなり墨入れを行うことが出来るのです。

 多少後先になりましたが「墨入れ」とは、キットのモールドを際立たせるため、一般塗装部分より暗く調色した塗料を使って化粧することです。凸モールドの場合はモールド周囲の凹部分に塗料を溜めるよう塗装し、筋彫りや、凹モールドの場合は凹んだ部分に塗料を走らせるように塗装します。はみ出した塗料を拭き取ることが前提なので、他の塗装部分より弱い塗料、一般的にはエナメル塗料を使用します。最近ではより手軽なペンタイプの使用も多くなっていますので、併せて解説していきます。


(左)一般的な墨入れに使用されるエナメル塗料です。エナメル塗料はラッカー系など一般の模型用塗料の塗膜を侵しません。そのため塗装後に行う墨入れ用として使用されるのです。

(右)「コピック」という極細のサインペン。シンナーや筆等もいらず、なんと言っても臭いが出ないので、大変手軽に墨入れが出来ます。ただ、筋彫りが極端に細い場合や、凸モールド周りではかえって使いにくい側面もあります。



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 それではコピックによる墨入れを、特別ゲストの空山竜司君にお願いして。実演してもらいましょう!



 水性コピックの場合指で簡単に拭き取れますし、色合いが合わなかった時など水で洗い落とせます。何より最も手軽に作業出来るので、非常に便利な方法と言えるでしょう。



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 シャープペンシルでも墨入れが可能です。0.3ミリタイプが便利ですが、芯を斜めに研ぐなどして、筋彫りの溝幅によって調整も出来ますし、独特の風合いがあって、なかなかの優れ物です。



 半透明のメタリックグレーになる独特な仕上がり。暗い色には向きませんが、白、黄色、赤などの場合塗装色を暗くしたように仕上がるので、使い方によっては便利でしょう。

 今度はエナメル塗料による墨入れです。
 ここでは「フラットブラック」を使用しますが、ブルーを足したり、さらに白を加えたりと混色して使用すると一層感じが出ます。 また裏技としてエナメルシンナーにライターオイルを加えて使用すると乾きが格段に早くなります。



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 前回完成させた主翼部分に、エナメル塗料で墨入れを行います。筋彫りにすっと入る塗料の濃さや、量など動画で確認して下さい。



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 十分乾燥したら拭き取るわけですが、ガイアの「フィニッシュマスター」を使用します。綿棒の場合拭き取ったつもりでも実際には広げてしまっている場合が多く、毛細管現象を応用したフィニッシュマスターならば一度吸い込んだ塗料戻りがなく、驚くほどスムーズに拭き取れます。



 写真映えを考慮して白いパーツ部分にはジャーマングレー、青いパーツ部分には黒を使用しました。実物の雰囲気では、青を加えるなどしてパーツ色に近づけた方が高級感が出るでしょう。



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 さてそれでは墨入れまで完了した各ブロックを組み合わせ、いよいよ全貌が明らかになります!ご覧下さい!



Coffee Break - 初代のデカール制覇(うんちく編)

 俗に「デカール」こと水転写デカール。水転写シール、水シール、スライドマーク、多くの名称を持つこのアイテム、電撃の社長曰く「昔、水で貼るのがあったよね」とおっしゃるほどの長寿アイテムである。インレタこと、ドライデカール登場の折、衰退の気配を見せたものの、耐久性において軍配が上がると、再び主流の座を確保した。私見でも印刷の美しさ、薄さ、定着性の良さ、耐久力(対経年性) においてダントツである。

 若年のユーザーは当然知り得ないことだが、昔はお湯や蒸しタオルを使用して軟化させ、密着に努めた。定着面でも薄めた木工用ボンドを使用するなど荒技が多用され、シルバリング(デカールとキット面の間に細かい気泡が入り、白っぽく光ってしまう現象) 対策として、シンナーで貼るという強者もいた。この時代、デカールを貼ることは職人芸の域だったのである。

 事態を一変させたのは、クレオス「マークソフター」の発売である。これはデカールが印刷されているニス(透明のベースフィルム部分)を軟化させる水性溶剤で、塗るだけで完全な密着が得られ、キット面に溶着されるため糊分をも必要としない。ただ、使い方を誤るとデカールが原形をとどめぬほど溶けてしまうという欠点もあるので、これさえあれば誰でも職人、というわけにはいかない。



 それではここで前作「タイプA」の時、最も問い合わせが多かったランディングギヤー周りを、切り出しから一気に墨入れ〜完成まで解説していきます。

 この様に、微妙な段差が多く存在するランディングギヤー。ニッパーによる作業は他のパーツと同様、余裕を持って切り出すようにしましょう。



残ったゲートは、他のパーツ同様カッターを使用してきれいに処理します。繊細な段差が多い部分なので、基本通り、やや引き動作を加えながら動かして、そぎ取っていきます。(

 機首部分同様、パーティングラインが必ずあります。これを放置すると墨がくっきりと入ってしまいますので、三角ヤスリを使ってゲートの処理と同時に、ラインも消すようにしましょう。



 こういった部分も三角ヤスリを上手に使って処理します。「ヤスリ」の項で説明した「薄平」があれば言うことはないのですが、三角でも大丈夫、多少時間はかかりますが十分仕上がります。 

 パーツ自体が細過ぎる時は、むしろかんな削りの方がスムーズに作業出来ます
パーツのサイズ、形状ごとに適切な作業方法、ツールを選択することが上達の早道です。



 残念ながらこの部分もダボ穴が埋まっています。多少心許ないとは思いますが、1.2ミリのバイスで丁寧に開口して下さい。

 最後はペーパーを写真のように使って、丁寧に円柱状に仕上げます。ペーパーを動かすか、パーツを動かすか思案のしどころですね。



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 それではいよいよ機体への取り付けです。本キットは着陸状態、飛行状態が選択式です。パーツさえ両方用意しておけば、完成後も選択出来ます。まずはボックス部分からご覧下さい。



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 次はギヤー部分の組立です。ここも宣伝的要素の強い(笑)カットですが、タイヤ別パーツは売りの一つなので、是非!ご覧下さい!



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 機体にギヤーパーツを取り付けます。このパーツでさえも接着なしで組立可能ですが、きっちっと位置調整が出来たら、一応真鍮線を使って瞬着を流しておくと良いでしょう。



 メインアームが一直線になるように組んで下さい。車輪部分が左右が平行になっていることと、接地させて機体が水平になることも確認して下さい。

 サポートアームの左右は間違いやすいので気をつけて下さい。
 問題なければ念のため真鍮線を使ってハイスピード瞬着で要所を接着しておくと良いでしょう。



Coffee Break - 初代の歯ブラシ制覇

 この位ばかばかしい話もないのだが「歯ブラシ位新品を買え!」である。

 プロの人間でも、毛の開いてしまった中古歯ブラシを堂々とテレビまで使っている!なんと言うこと、大事な大事な模型製作に、何千円のキットに、自分の食べかすの詰まった中古歯ブラシを使うなど!

 実際問題として、瞬着硬化スプレー等を吹いた後は「ヤスリかす」が若干定着してしまい、柔らかいブラシでは落とせないし、ごついブラシではモールド内部まで入っていかない。最低柔らかい毛先細加工タイプと、かなり堅いしっかりしたもの二種は欲しいところ。欲を言えば工作用と塗装用も分けたい。

 所詮安いものだし、精神論から言っても新品を使って欲しい!



 ランディングギヤー等、動作機械部分は黒だけではなくやや茶色を混色して墨入れする方が感じが出ます。またディティール的に、コピックよりもエナメル塗料の方が楽に作業出来ます。



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 ここでは機体部分のようにきちっと拭き取らず、少し残すような感じに仕上げます。そのため塗る時の濃さ、量が重要になりますので、しっかり確認して下さい。



 この位の濃さが最適です。複雑な構造部分なので、濃くし過ぎるときれいに拭き取れなくなってしまいます。流したままでも済む程度の濃さを心がけましょう。



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残念ながらこういった部分はフィニッシュマスターではかえって難しくなってしまいます。綿棒を使用し、うまく雰囲気が出るように拭き取って下さい。




 本来今回は「塗装」が来るべき所ですが、フルカラーキットのため、「墨入れ」で済んでしまいました。

 実際の所、コピック等ペンを使用すると絵面は楽そうなのですが、極端に広範囲、狭範囲な場合等、エナメル塗料の方が楽な場合もあります。結局、両方用意するのが最良と言うことになってしまい、皆さんの判断に委ねるしかありません。動画部分等参考にして結論を出していただければと思います。

 余談ではありますが、レジンキットの特性として一般の模型より溶剤に強い為、失敗してもシンナーと歯ブラシなどで擦り落とし、一からやり直す事もできる事を覚えておいて損はないでしょう!

鋭之介 “初代” 日野

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